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飲食店  パリ

飲食店 ル・プレヴェール パリ

パリ、カルチエ・ラタンの中心にLe Pre Verreがオープンしたのは2003年のことだった。オープンから2、3日後、始めてこのレストランを訪れたときのことを今でもよく憶えている。オープンを聞きつけて集まったゲストは10人ほどだった。私は手厚くもてなされ、それこそ贔屓されたわけで、まったく悪い気はしなかったが、同時に、こんなに素敵なレストランが、がらがらなのはいかにも残念だと思ったものだ。何しろ、その夜に味わった衝撃は今でも記憶に残っているのである。

数週間後、界隈を通りかかった私はThénard通りのほうに向けて寄り道をした。そこで私が見たのは満席のレストラン、そして予約無しで訪れたグループががっかりして出てくる姿であった。うわさは口コミで広がり、さらにレストランを賞賛する記事が人気を後押ししたのだ。それから3年以上経った今、このレストランの成功は否定のしようもない。予約を入れなければテーブルにつくことはできない。さらに、この本で紹介するすべてのレストランの中でも、「Le Pré Verre」が若者、とても若い人たちを最もひきつけていることは間違いない。もちろん界隈のシニアも行きつけにしている。

Picture of the restaurant Picture of the restaurant Picture of the restaurant

成功の秘密

先ず、「ネオ・ビストロ(新しいビストロ)」のコンセプト。赤と黒を基調にした洗練された室内。バロック調の巨大な時計、数々の黒板、そして壁を飾るジャズLPのジャケットが必ず目に入ってくる。テーブルに落ち着けば、リラックスした雰囲気の中に、あらゆる年代、国籍、出身の多様なゲストたちの会話が溶け合い、ときにはうるさいくらいの賑やかさに包まれる。その後ろには素晴らしいジャズやブルースが低く流れているのである。

Picture of the restaurant

シェフの弟、マルクが仕切るサーバーたちは若く熱心で、才能溢れるシェフ、フィリップ・ドゥラクルセルが生み出す料理について情熱をもって語る。香り高い東洋のスパイスをフランス料理に組み込んだのは、フランス料理のシェフとしては恐らくフィリップが初めてであろう。彼は、今は亡きベルナルド・ロワゾーのもとで修行を積んだ後、アジアで数年間を過ごし、帰国後の1984年、15区に「Clos morillon」を開いた。彼のスタイルはこの時期から開花し始めたのである。パンテオンにほど近いこの店で、型破りで衝撃的、明確でそして常に情熱的な料理の数々を生み出した。決して思いつきなどではない絶妙なスパイス使いによって味覚のハーモニーが生まれ、驚くべき料理が作り出されている。当然ながら、これらの料理は、マルシェで求める材料、精確な調理時間、味付けの塩梅、微妙なスパイスの使い方など、すべて優れたノウハウに基づいている。この店では、すべてがオリジナルで、大胆、味わい深く、ただただ素晴らしいのである。

そして、ワインは?

マルク・ドゥラクルセルが黒板に書き込むワインのセレクションにも是非注目したい。たった一種のボルドー(「外国人向け」に)を除いては、特に南フランスの小さなワイナリーなど掘り出し物ばかりが厳選されている。グラスワインのチョイスも多く、カウンターで一杯やることもできるし、カラフでもオーダーすることができる。もちろん熱心なコメントもついてくる。

The restaurant

結論としては、このレストラン、(質+楽しみ)÷価格、という公式において、パリでも最高レベルのレストランである、と言える。コースメニューなどは敵なしであろう。ワインでもとをとっているなどと考えるなかれ。言ってしまうと、ワインの価格も料理に負けずリーズナブルである。また、ランチのコースも、慈善活動と言っても過言ではない。デザートを追加することをお勧めする。

素晴らしい料理、美味しいワイン、ジャズ、そして魅力的な値段と賑やかな雰囲気がお好きならば、「Le Pré Verre」にお急ぎあれ。

「Arthur Deevs著Bistronomiques(Minverva出版)」